ラオウ生涯の伴侶・黒王が見届けた究極のご時世
ラオウと共に覇者の道を突進した愛馬・黒王の誠実な生き様
今回はまた、「北斗の拳」を語るに当たっては、ラオウの形見である愛馬・黒王の存在も抜きにしては語れないところです。
今更ですが、黒王とはあくまで世紀末覇者・拳王ことラオウの生涯の伴侶であったことがまず先に立つものです。
そんな黒王の圧迫感溢れる場面と言えばまず、その馬らしからぬ巨体でザコたちを次々と容赦なく踏みつぶしていくほどの、言うまでもなくこの世で最強のラオウの分身に相応しいほどの存在であったといえます。
しかしこの黒王もまた、主に対する愛情たるもの、この上なきものでもありました。
ラオウがケンシロウとの1回戦目の相打ちの戦いを闘いを終えて重傷を負い、拳王軍の部下達に逃げられた後も決して見放すことなく主の労をねぎらいそしていたわる姿は、歴史に残る名場面でもあります。
そして極めつけは、ラオウがかの一片の悔いもない生涯を全うした最期を見届けた後に、ラオウの墓前でその霊を手厚く弔う場面が身のがせません。
併せて、ただ単にラオウと共に命を懸けて戦う、といった姿勢に限らず、ケンシロウとの闘いを実感するにおいても黒王また、一方ではケンシロウから闘気を味わうことにより、その救世主としての役割も見届けていたのかな、という風なところでもあります。
ラオウ以外に我が背を許したのが、この拳士でした
と、ここでもまた黒王がラオウ以外に背を許した、自らが選び抜いたともいえる最強の漢が存在したのです。
「ラオウがこの世で最も強い漢として認めた、数少ない存在」としての南斗五車星・雲のジュウザにもラオウとの戦いの最中にて一旦背を貸したこともあるほどです。
という事で、ちょうどまたこの雲のジュウザの、他の拳士には2つとあり得なかった、そんな資質を復習してみます。
正しく「無形の拳」との異名を持ち、どんな流派にも所属せず、また誰の技も真似ることなく我流で乱世を生き抜いてきた、そんな拳士でした。
というよりも、そもそもジュウザの辞書には奥義という言葉は一切存在せず、いやその奥義が故に甘えが生じ、敵にスキを突かれる、というのが彼の根本姿勢でした。
よってこの我流の拳こそが、例えば山のフドウによる最期と同じく、ラオウに対し優位に立ったことのあるものだったというのが何よりです。
またここで、幼少期のラオウとジュウザとのエピソードとしても、決定的な場面がありました。
木の上にあった卵をラオウが取ろうとしたその時、ジュウザに横取りされた、というものですが、まさにこの頃よりジュウザはラオウにとっても恐れるべく才の持主だったと、認知されていたほどです。
したがって、黒王としては「北斗の拳」の物語においても、その背を許した人物としては単なる特別というだけでなく、あくまでも孤高の存在として究極の乱世において大役を果すべく、そんな人物だけを選び抜いてきたものであったとも思われます。
黒王は雲のジュウザがラオウとの凄絶な死闘に殉じたその際にもまた、ジュウザのしたたかでしぶといその生き様を称えるべく、手厚く霊を弔ったものでもありました。
ラオウとケンシロウの両側に立ち、黒王が見切った野望と平和のはざま
今回は繰り返しラオウの場面をしつこく繰り返しているようですが、実は黒王とは、一度はジュウザに背を許しただけでなく、自らの主の最大なる強敵であったケンシロウをユリアと共に安住の地まで送り届けた存在でもあったのです。
それ以降の黒王としては、まさにラオウの生前のようにケンシロウを主として慕い続け、ケンシロウのルーツである修羅の国までリンの救出に向かったりもしました。
ただ覇権を目指す者だけでなく、平和を望む者に対しても忠誠を尽くした、そんな存在であったのです。
黒王とは「北斗の拳」で言うところの、いわゆる敵か味方か、という視点ではなく、あくまでそんな枠を遥かに超えて、これは、と決めた英雄的資質を持つ者に対しては我が身を捧げる、そんな存在でもあったように感じ取れます。
よって言うまでもなく、人の資質を見極めるその眼には、寸分たりとも狂いがなかった、と絶賛すべくラオウに限らず、「北斗の拳」における名立たる英雄達にとっての盟友としての黒王でもありました。
言い換えれば、凄絶な乱世においては、こうして覇権の野望を持つ者と平和を志す者との両側の視点から、正しく千変万化する凄絶な無秩序の乱世を見届けた、決定的な一大証人であった。
そんな辺りが、黒王号の「北斗の拳」における役割であり、それでいて彼もまた非情な現実世界を生き抜く、決定的なお手本の一つでもあったと、私は考えております。
「北斗の拳」において黒王はラオウの分身的存在のみならず、ラオウ亡き後の新世代への渡し船的な役割をも果たしたのです。
「北斗の拳」における黒王号の役どころについて、下記よりテレビアニメをご視聴いただければ、何よりありがたいと考えております。👇
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