「北斗の拳」で、ユリアがラオウに対していかに無想転生を教えたか
「北斗の拳」でユリアはかつて、ラオウ始め強敵達の憧れでもあった
今ここまで来て、改めて「北斗の拳」の物語におけるユリアのヒロイン的な存在について語っていこうと思います。
というのも、これからまさに「北斗の拳」の物語も、いわゆる前半(テレビアニメで言うところの「北斗の拳・2」のスタート以前)におけるケンシロウ対ラオウの最終のクライマックスへと突入しようとしているこの際にも、ユリアというヒロイン的存在の行方までをも語らざるを得なくなってきたのです。
そこでまず、「北斗の拳」の物語のおさらいになりますが、ユリアという存在自体、ケンシロウだけでなくラオウ、トキ、シン、そしてフドウと、あくまで有力な選ばれし漢達の心を惹きつけて止まなかったのは、遥か昔からのことでした。
そんなことをなぜ、今更ながら振り返る必要があるのか、という事ですが、まず第一にケンシロウ対ラオウの最終決戦を語るに当たっては一筋縄ではいかぬというのは言うまでもないことです。
それにも増して、かつてユリアがラオウより如何なる対象としての目線を浴びていたか。
元々女に対しては、むしろ武骨で不器用、とまで語られていたラオウですが、「北斗の拳」の原作においては、あくまでユリアもまた一つの野望であった、という証言が存在します。
またその一方トキとしては、ユリアがケンシロウを選んだにも拘わらず、ユリアに対する愛情が故にあくまで2人を「見守る」立場に徹していたとも証言しています。
しかし、今更「北斗の拳」の愛好家たちにとっては、言うまでもないことでしょうが、ユリアはかつて殉星のシンに連れ去られて以来、抵抗することもなしにただケンシロウを待ちつつづけるという宿命のために生き続けて来ました。
「北斗の拳」の孤高のヒロインであったユリアは、もう一人のヒロインであったマミヤとは性格もイメージもほぼ正反対と言えるほど、あくまで非武力主義に生きてきた、というのが大多数にとっては相応しい表現でしょう。
そんなユリアの万人を引き付けて止まなかったヒロイン的な資質を振り返ったうえで、「北斗の拳」のクライマックスにてラオウに無想転生を教えたというそのきっかけはどこにあったのか。
こういった点を踏まえ、「北斗の拳」の物語がこれよりまさに泣いても笑っても、ケンシロウとラオウを誰も止められないまでのクライマックスに差し掛かった今こそ、そのより一層質の高い発見というものを見出せれば、と思っております。
「北斗の拳」でユリアもまた、ラオウにその非情なる宿命を教えた
「北斗の拳」のヒロインとしてのユリアだけでなく、マミヤについてもかつて両親を殺害された上に妖星のユダに連れ去られ、以来命からがら脱走するも女を捨てて戦い続けるという、非情の運命についてもお話ししたことがあります。
がしかし、孤高のヒロインであるユリアとしてもまた例外なく、万人に愛されラオウから身を守られながらも凄絶な乱世と闘い続けてきた、という真実も是非とも覚えておきたいものです。
一見武力を放棄したかのように思えたユリアでしたが、そのヒロインとしての宿命はあくまでも南斗六聖拳の一つである慈母星として、これまた今まで話してきた通り山のフドウや雲のジュウザ達といった戦士達がラオウとの死闘、という型で死守され続けてきたのです。
したがって、ユリアはこの乱世における長き死闘の旅路にて、ケンシロウと分かれて以来、腹違いの兄であったリュウガに南斗五車星の海のリハク以外の戦士達との死別の悲しみを見届けて、この乱世に光を呼び戻すという宿命に生き抜いて来たのです。
あくまでラオウとしても、南斗五車星との戦いの中でユリアの存在自体を悟って以来、そのヒロインとしての宿命に目を背けずにはおられなかったところでした。
というのが少なくとも原作においては、ケンシロウがラオウに対して無想転生を教えた地点で、ごまかしの効かない真実となっております。
「北斗の拳」の物語の強敵としての主人公・ラオウとしても、ここまで来ればさすがにユリアを手にかけることのできないまでになっていました。
「北斗の拳」でユリアの新事実を、今まさにラオウが悟った!!
ユリアもまた、トキと同じ病に侵され行く先長くはないであろう、そんな悲しき運命に気付いたのです!!
実はこの病のために、ユリアもまたトキがカサンドラにて自らが幽閉の身になってケンシロウを待ち続けたのと同じ運命を辿りました。
彼女自身が病に気付いて以来、サザンクロスにてシンの帝国の囚われの身から、南斗六聖拳の最後の将として、ケンシロウを待ち続けてきたのです。
にもかかわらず、ラオウとはあくまでも「北斗の拳」の物語においては、向かうところ敵なしで愛も悲しみも知りえなかった、と言われがちの様です。
がしかし、私としてはラオウ自身の生い立ちそのものを振り返ってみても、正直なところそう簡単に愛も悲しみも知らなかったとは言い難いものです。
幼いころに両親をなくし、北斗神拳の道へと入るまでにもトキと共に世界最強を目指すために大変な苦労があったことは、原作からも読み取れます。
生来はそれほどまでの悲しき運命を歩み、そしてこの宿命の最終決戦に及んでは、かつて他の強敵達と共に愛し続けてきた「北斗の拳」のヒロインのユリアでした。
その運命までもが悲しきものであったという事からも、最終的にはラオウがユリアより無想転生を教えられた、と言うのが相応しい表現に当たります。
まさにここまで追い込まれていたラオウとしては、究極の決断として、ユリアの延命のための秘孔を突いて仮死状態にしておいた事が後々発覚する展開になり、ケンシロウとの宿命の戦いをより一層凄絶なクライマックスへと導いていったのです!!
※以上に紹介した内容としては、「徳間書店」より2004年に初版発行されたコミックからの情報です 。
したがって、テレビアニメとは場面が異なる場合も少なくはないですが、紹介させていただいた原作を基に、下記より👇「北斗の拳」のテレビアニメのご視聴をいただければ、何よりかと思います。
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